食品ロスの対策方法とは
毎年、クリスマスや恵方巻などの時期を終えたあとに注目が集まるのが「食品ロス」問題。
ニュースで、売れ残ってしまった大量のクリスマスケーキと恵方巻きが廃棄される様子を目にした方も少なくないでしょう。
まだ食べられるのに、破棄されてしまう「食品ロス」は、日本でも深刻な課題となっています。
食品ロスを削減するには、国や企業が動くだけなく、国民1人1人が食べ物をムダにしない工夫も必要です。
そこで今回は、食品ロスを減らす有効な対策や、国・企業が行っている取り組みについて解説します。
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食品ロスとは、まだ食べられる食材が捨てられるすべての食料品のことです。
最近、テレビや雑誌、新聞などのメディアでも取り上げられることも増えつつあります。
ですが、食品ロスはここ数年で深刻化した問題ではありません。
年号が平成に変わったころから、すでに食品ロスは始まっているのです。
農林水産省・環境省が公表した食品ロス量の統計値によると、1年間で廃棄される食品は、なんと2250万トンにもなります。
廃棄される食品のうち、612万トンは、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品ロスにあたるものです。
年間の食品ロス量を国民の人数で割ると、1人あたりお茶碗一杯分の食べ物が毎日廃棄されている計算に。
この量は、食糧が乏しくて食べたくてもお腹いっぱい食べられない人たちへ支援している食料援助量の1.6倍です。
食べられる食料がこれだけ大量に廃棄されていることは、“もったいない”だけでなく、資源のムダ使いや環境へも悪影響も及ぼします。
食品ロスの廃棄削減に向けて、食料品を販売する企業や販売店でも独自の対策を行っています。
キユーピーでは、酸化を遅らせるため、マヨネーズの容器を改良しました。
酸素が入らないよう、アルミシールの採用や酸素を通しにくい素材を使うなど、さまざまな工夫を凝らしています。
その結果、賞味期限を10か月→12か月への延長を実現しました。
参照元:キューピー株式会社
セブン&アイでは、食材を無駄なく使いきる『エコレシピ』を店頭で配布しています。
店舗スタッフの知識や経験を活かし、エコでおいしいメニューを紹介。
また、家庭で使いきれずに余っている食材を集め、必要な人たちに届ける『フードドライブ』という取り組みも開催しています。
フードドライブによって集められた食材は、子ども食堂などで有効活用されています。
そのほか、定期的に食品ロスに関するセミナーを行う、期限がひっ迫したお弁当の購入時にポイントを付与するなど、幅広い活動を行っています。
参照元:株式会社セブン&アイ・ホールディングス
新型コロナウイルスの影響でフライト本数が減り、機内食の在庫が大量に出てしまったJAL。
賞味期限がひっ迫した機内食をロスしないために、社員食堂での提供を実施しました。
その数、なんと8000食です。
また、通信販売を行う『JALショッピング』では、食べて食品ロスの削減を支援する取り組みも行われています。
機内食をはじめ、地域のお土産品などを掲載し、ネット販売を行っています。
食料品を取り扱う企業だけでなく、国も食品ロスを削減するべくさまざまな対策を行っています。
食べられるのに廃棄されてしまう食品を減らすために、令和元年10月1日には、「食品ロス削減推進法」が施行されました。
「食品ロス削減推進法」は、日本初となる食品ロス関連の法律です。
食品ロスは国が抱える問題ですが、消費者である私たち1人1人が意識することで、廃棄される食べ物を削減できます。
なぜなら、年間612万トンある食品ロスのうち、およそ半分にあたる284万トンは家庭から出されているからです。
個人でできる食品ロス対策は“食材を使いきること”が大前提です。
対策をすることは、食費を抑えられるメリットもあります。
参考元:http://www.env.go.jp/press/107969.html
特売品や見切り品を見つけると、必要ではなくてもカゴへ入れてしまうことはありませんか?
食材を買いすぎると、使い切れず余ってしまい、ロスが出る原因となってしまう可能性があります。
スーパーへ行く際は、家を出る前に冷蔵庫の在庫をチェックしましょう。
必要なものを食べきれる量だけ購入することが大切です。
スーパーやコンビニでは、賞味期限が長いものを奥に陳列することが基本です。
奥から取ると賞味期限の短い商品が余ってしまい、売れ残りの増加に繋がります。
そのため、商品を手に取るときは賞味期限の確認したうえで、極力手前から取るようにしましょう。
食事を作る際、できるだけ古いものや足の速いものを先に消費することも食品ロス削減に効果的です。
あらかじめ献立を決めている方は、傷むのが早い食材を優先的に使えるよう、メニュー決めも工夫しましょう。
食べ残しを減らすには、料理を作りすぎないことも大切です。
家族の人数や食べる量にあわせ、食べられる分だけ作りましょう。
もし余ってしまった場合は、他の料理のリメイクする、フリージングをしておくなど、廃棄が出ない工夫も必要です。
大容量のお肉など一度に使い切れないものは、一旦フリージング(冷凍)しておくと保存期間が長くなります。
必要な分だけ小分けにして冷凍しておくと、作りすぎも防げます。
いただきものや買いすぎてしまったことで消費しきれない場合は、人にお裾分けをするという方法もあります。
たとえ好意でもらったものでも、食べずに廃棄してしまうのはもったいないです。
自分たちで食べきれないときは、友人や近所の方、会社の同僚など、受け取ってくれそうな人に活用してもらいましょう。
食品ロスは、消費者と販売を行う事業者が力を合わせて実現できるものです。
消費者である私たちは、食べ物を買いすぎず使い切ることが、食品ロスの削減につながります。
食料をムダなく使うことは、家計の節約にもなり一石二鳥です。
まずはできることから、1つずつ実践してみてはいかがでしょうか。