認知症とゴミ屋敷の関係性は?認知症の症状とゴミを捨てられない理由

高齢化が進むにつれ、認知症の患者もどんどん増え続けています。

この認知症と関係性が深いのが、ゴミ屋敷の問題です。

 

認知症の患者はその症状から、自宅をゴミ屋敷にしてしまうことが多いのです。

では、認知症の症状にはどんなものがあって、それがどうゴミ屋敷化に結び付くのでしょうか?

 

今回は、認知症の主な症状とゴミ屋敷の関係性について説明していきます。

ゴミ屋敷 認知症 ブログ01

認知症の主な症状

 

認知症の症状は、大きく以下2種類に分けられます。

 

  • 中核症状
  • 周辺症状

 

「中核症状」とは、認知機能の低下から起こる、一次的な症状を指します。

「周辺症状」は、中核症状と周辺環境などが相互に作用することで起こる、二次的な症状です。

 

ここでは、認知症の中核症状と周辺症状、それぞれの主な症状について説明していきます。

 

認知症の主な中核症状

 

認知症の中核症状には、主に以下のものがあります。

 

  • 記憶障害
  • 見当識障害
  • 実行機能障害
  • 言語障害
  • 失行
  • 失認
  • 理解力や判断力の低下

 

「記憶障害」は、物忘れが多くなったり、新しいことを覚えられなくなるといった、記憶の障害です。

「見当識障害」は、今がいつで、ここがどこなのか分からないなど、自分が置かれた状況が分からなくなってしまう障害です。

 

「実行機能障害」は、物事を順序よく行えなくなってしまう障害を指します。

「言語障害」になると、話す、聞く、読む、書くなどの行為ができなくなってしまいます。

 

「失行」は、これまで日常的にしていたことが、急にできなくなってしまうこと。

「失認」は、視覚や聴覚など、五感に関する認知力が正常に働かなくなってしまう障害です。

 

このほか、理解力や判断力の低下も、認知症の中核症状です。

 

認知症の主な周辺症状

 

認知症の周辺症状には、主に以下のものがあります。

 

  • 妄想
  • 幻覚
  • 暴言・暴力
  • 徘徊
  • 不潔行為

 

「妄想」には色んな種類がありますが、認知症患者には被害妄想の症状が多く見られます。

「不潔行為」は、大便を弄ぶ「弄便(ろうべん)」が代表例です。

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認知症の中核症状とゴミ屋敷の関係性

 

ここまで、認知症の主な症状について説明してきました。

では認知症の症状とゴミ屋敷は、いったいどのように結びつくのでしょうか?

 

ここではまず、認知症の中核症状による、ゴミ屋敷化のケースについて説明していきます。

 

認知症の中核症状とゴミ屋敷の関係性①見当識障害によりゴミ出しの日が分からなくなる

 

見当識障害にかかると、今が何月何日で、何曜日なのかも分からなくなってしまいます。

 

各自治体では、ゴミの種別ごとに、ゴミ出しのルールが決められています。

例えば、月曜日は燃えるゴミの日、火曜日は燃えないゴミの日といった具合です。

 

しかし今日が何曜日かが分からなければ、ゴミ出しができなくなってしまいます。

こうして、宅内にゴミがどんどん溜まっていってしまうのです。

 

認知症の中核症状とゴミ屋敷の関係性②実行機能障害によりゴミを分別できなくなる

 

実行機能障害にかかると、物事を順序よく行えなくなってしまいます。

 

ゴミ出しをするには、これは燃えるゴミ、これは燃えないゴミというように、適切に分別していかなければなりません。

しかし実行機能障害にかかってしまえば、こうしたゴミの分別もできなくなってしまうこともあるのです。

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認知症の中核症状とゴミ屋敷の関係性③失行によりゴミ出しそのものができなくなる

 

失行にかかると、これまでやっていたことが急にできなくなってしまいます。

これにより、以前はごく普通にしていたゴミ出しも、できなくなってしまうのです。

 

きれい好きだったはずの人が認知症にかかった途端、自宅をゴミ屋敷にしてしまうというのも、よくある話です。

 

認知症の周辺症状とゴミ屋敷の関係性

 

親が認知症にかかって自宅をゴミ屋敷にしてしまったら、その子どもがゴミ屋敷を解消するため、積極的に働きかける必要があるでしょう。

なぜならゴミ屋敷に住むことは、けがをしたり火災にあったりするリスクが高いうえ、認知症にかかった人はこうした危機に対処できないからです。

 

しかし子どもがゴミを片付けようとしても、うまくいかないことが多々あります。

その原因は、認知症の周辺症状によるものが多くなっています。

 

ここでは、認知症の周辺症状とゴミ屋敷の関係性について説明していきましょう。

 

認知症の周辺症状とゴミ屋敷の関係性①妄想によりゴミを盗まれたと思い込む

 

認知症の周辺症状には妄想、とりわけ被害妄想があります。

子どもが親の宅内にあるゴミを捨てようとすると、親が自分の物を盗まれると思い込んでしまうことも多いのです。

 

なかには、子どもが苦労して捨てた大量のゴミを、認知症の親が自宅に全部戻してしまったというケースもあります。

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認知症の周辺症状とゴミ屋敷の関係性②暴言・暴力によりゴミを捨てると怒り出す

 

認知症患者の周辺症状には、暴言や暴力もあります。

下手にゴミを捨てようとすると、自分の物を盗まれるという被害妄想も相まって、暴言を吐いたり、暴力をふるってくる場合もあるのです。

 

認知症の周辺症状とゴミ屋敷の関係性③不潔行為により家の中を汚してしまう

 

認知症の親の宅内にあるものがゴミだけなら、まだ良い方かもしれません。

というのも、認知症の周辺症状には、不潔行為もあるからです。

 

認知症患者のなかには、自分の排泄物をそのあたりに投げつけたり、壁に塗りたくったりする人も多いのです。

こうなれば、ゴミ屋敷を片付けるのが、ますます嫌になってしまうでしょう。

 

親が認知症にかかって自宅をゴミ屋敷にしてしまったら?

 

もし、自分の親が認知症にかかって、自宅をゴミ屋敷にしてしまったら、どうすればいいのでしょうか?

 

ゴミ屋敷清掃業者に依頼すればゴミを片付けてもらえますが、原因が親の認知症にある以上、根本解決にはなりません。

一度片付けても、すぐ元通りにしてしまうでしょう。

 

また、認知症には今のところ、根本的な治療方法もありません。

そのため、親が認知症になってしまったら、介護施設などに入所させるのがいいでしょう。

 

先ほども説明したとおり、ゴミ屋敷に住むことには、けがや火災のリスクがあります。

そのまま親を住まわせておくのは、非常に危険です。

 

ゴミを片付けながら親を介護する方法もありますが、これらを同時にこなすのは大変です。

自分と親の両方を守るためにも、介護施設などに入所させるのがベストだと言えるでしょう。

 

まとめ

 

認知症は、実に様々な症状を引き起こす病気です。

その症状が原因となって、自宅をゴミ屋敷にしてしまう人も少なくありません。

 

認知症そのものは命に関わるものではありませんが、ゴミ屋敷に住むことは命の危険を伴います。

最悪の事態を招かないためにも、親と離れて暮らす人は、親が認知症になっていないか、実家がゴミ屋敷になっていないか、こまめにチェックしてあげるといいでしょう。

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