ゴミ屋敷は今後も増え続ける?その原因と増やさないための対策
近年、ゴミ屋敷はどんどん増えていると言われています。
今後の日本社会を考えると、この傾向はさらに強くなることが予想されます。
いったいなぜ、今後もゴミ屋敷が増える可能性は高いと言えるのでしょうか?
また、ゴミ屋敷を増やさないためには、どうすればいいのでしょうか?
今回は、そんな疑問を持っている方のために、今後ますますゴミ屋敷が増えていくであろう原因と、増やさないための対策について説明していきます。
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そもそも、ゴミ屋敷は日本全国にどのくらいあるのでしょうか?
残念ながら、ゴミ屋敷が何軒あるという統計はありませんが、市や区によっては、ゴミ屋敷の相談の受付件数を公開しているところもあります。
そのなかの一つが、東京都の足立区です。
足立区では、ゴミ屋敷解消のための条例を設けています。
内容については後ほど説明しますが、この条例を受けて、足立区に寄せられたゴミ屋敷の相談件数は以下のようになっています。
平成24年度…55件
平成25年度…18件
平成26年度…35件
平成27年度…41件
平成28年度…30件
平成29年度…35件
平成30年度…13件
足立区では、平成24年度から平成30年度まで、7年間のゴミ屋敷の累計相談件数は、227件にもおよびます。
相談を受けていないゴミ屋敷もあることを考えると、実際の数はもっと多くなるでしょう。
現時点でも社会問題になっているゴミ屋敷ですが、今後の日本社会を考えると、さらに増えていくことが予想されます。
ここでは、今後ゴミ屋敷が増えていくであろう原因や背景について説明していきます。
最近では、高齢者の住むゴミ屋敷が増えていっています。
この原因の一つは、高齢者の体力や認知力の衰えによるものです。
体力や認知力が衰えれば、これまでできていたゴミ捨てもままならなくなり、自宅にはどんどんゴミが溜まってしまうでしょう。
もう一つ、自宅をゴミ屋敷にしてしまう高齢者に多い原因が、「セルフネグレクト」によるものです。
セルフネグレクトは「自己放任」とも呼ばれる精神障害の一種で、高齢者によく見られます。
セルフネグレクトにかかった人は生きる気力をなくし、食事など、生活に必要な一切のことをしなくなってしまいます。
ゴミの片付けもままならないため、自宅はゴミ屋敷になってしまうのです。
このように、高齢になると自宅をゴミ屋敷にしてしまう危険が高くなってしまいます。
日本は高齢化が進んでいるため、高齢者の増加に比例して、ゴミ屋敷も今後さらに増えてしまう危険があります。
昔の日本では、親子3世代で一緒に暮らすことも珍しくありませんでした。
しかし現在は、高校や大学を卒業して、就職したら実家を出るのが当たり前のようになっています。
高齢の親がいても、子どもが一緒に住んでいれば、実家がゴミ屋敷になるのを防げます。
しかし親元から離れて暮らし、実家に帰るのも年数回というのが当たり前の現代にあっては、実家がゴミ屋敷化しても仕方ありません。
自宅をゴミ屋敷にしてしまうのは、何も高齢者だけではありません。
「汚部屋」と呼ばれる、ゴミが積まれたマンションやアパートの一室に一人暮らししている人も増えているのです。
自宅を汚部屋にしてしまう人に多い原因が、仕事が忙しいということです。
仕事が忙しい人の中には、平日は仕事に明け暮れ、休日は疲れを癒すために一日中寝ているため、ゴミを片付ける時間がないという人もいます。
食事を作る余裕もないため、汚部屋にはコンビニ弁当やカップラーメンの殻、空のペットボトルなどが部屋に散乱していることもあります。
現代はストレス社会と言われており、ブラック企業の問題も増えていることから、今後ますます自宅を汚部屋にしてしまう人は増えていくかもしれません。
ここまで説明してきたように、このままでは、今後ますますゴミ屋敷が増えていく可能性は高いと言えます。
ゴミ屋敷は悪臭や害虫を発生させるだけでなく、火災のリスクもあるため、近隣住民にとって非常に迷惑な存在です。
自分たちの生活を守るためにも、ゴミ屋敷を減らすための対策をとりたいところですよね。
ここでは、ゴミ屋敷を減らすために個人ができる対策について説明していきます。
先ほど説明した、今後ゴミ屋敷が増える要因の3つのうちの2つは、高齢化と核家族化によるものでした。
しかし離れて住む高齢の親と頻繁に連絡をとれば、この問題はある程度クリアできるはずです。
高齢の親がセルフネグレクトに陥っていたら、施設に入所させるなどの対策をとりましょう。
体力が落ちてゴミの片付けができないと言われたら、時間を見つけて片付けに行くといいでしょう。
最近では、先ほど紹介した足立区のように、ゴミ屋敷解消のための条例を作るところも増えてきました。
ゴミ屋敷解消のための条例では、近隣住民から苦情や相談があったゴミ屋敷を、行政の人間が調査します。
調査の結果、ゴミ屋敷だと判断された住宅の住人は、片付けをするよう指導や勧告、命令を受けます。
住人がこの命令に背いた場合、そのゴミ屋敷は区によって、強制的に片付けられる仕組みです。
足立区では、この条例によって、平成24年度から30年度までの7年間で、実に167件ものゴミ屋敷の問題が解消しています。
住んでいる地区がゴミ屋敷解消の条例を出している場合、ゴミ屋敷があったら、積極的に相談するようにしましょう。
そうでない場合も、ゴミ屋敷に関する条例を作ってもらえるよう、相談してみるといいかもしれません。
ゴミ屋敷は以下3つの要因から、今後ますます増えていくことが予想されます。
高齢化
核家族化
多忙な仕事
今後ゴミ屋敷が増えていくことを防ぐためには、以下2つの対策が重要だと言えます。
親への頻繁な連絡
行政への相談
一人ひとりがこのような対策をとれば、ゴミ屋敷の増加を防げる確率も高くなるはずです。
ゴミ屋敷は迷惑なだけでなく、火災やゴミの倒壊のリスクがあるなど、近隣住民の安全を脅かす存在でもあります。
安全な生活を守るためにも、ぜひゴミ屋敷を減らすための対策を積極的にとるようにしましょう。