ゴミ屋敷を強制的に片付ける「行政代執行」とは?採用している自治体も紹介

近年、ゴミ屋敷は全国的に社会問題にまで発展しています。

これを受けて、複数の自治体では、ゴミ屋敷の解消のための条例を制定しています。

 

この条例のもと、各自治体ではゴミ屋敷の住人に対して、ゴミ屋敷の片付けを命令できるようになりました。

とはいえ、自治体が命令したからといって、ゴミ屋敷の住人が片付けをするとは限りません。

 

そこでこの条例では、最終的に「行政代執行」を執ることで、ゴミ屋敷の解消を図っています。

今回は、ゴミ屋敷の解消のための条例と、この行政代執行について、説明していきます。

ゴミ屋敷 行政代執行 ブログ01

ゴミ屋敷の行政代執行とは?

 

行政代執行とは、市や区などの行政が、ゴミ屋敷の住人に代わって、ゴミや不用品を強制的に撤去することです。

この行政代執行は、市や区の職員が、ゴミ屋敷清掃業者などと協力してゴミ屋敷の掃除を行います。

 

行政代執行を受けたゴミ屋敷の住人は、このときかかった作業料金を支払わなければなりません。

 

条例の対象となるゴミ屋敷の条件

 

冒頭で説明したとおり、行政代執行はゴミ屋敷解消のための条例のもと、執られる措置です。

条例の対象になるゴミ屋敷の条件は、以下のとおりです。

 

  • 害虫やねずみ、悪臭などが発生している状態
  • 火災の発生、積み上げられたゴミの崩落、不法投棄などの恐れがある状態
  • 景観を著しく損ねている状態

 

これらのうち、一つでも該当するゴミ屋敷は、条例の対象になります。

 

ゴミ屋敷が行政代執行になるまでの流れ

 

ここまで、行政代執行の内容と、対象になるゴミ屋敷の条件について説明してきました。

しかし対象になるからといって、すぐに行政代執行が執られるわけではありません。

 

条例では、解決のための複数のステップをいくつか踏んだうえで、それでも解消されなかった場合に、最終手段として行政代執行が執られるのです。

 

行政代執行になるまでの流れは、自治体によって、少し異なります。

一例として、東京都中野区の条例では、以下のようになっています。

 

  1. 苦情・相談
  2. 現場確認
  3. 調査等
  4. 立入調査等
  5. 指導
  6. 勧告
  7. 命令
  8. 代執行

 

中野区では、区の住人から苦情や相談があったゴミ屋敷を、区の職員が確認しに行きます。

現場確認の結果、そのゴミ屋敷が条例の対象に当てはまると判断された場合、区はそのゴミ屋敷の所有者について調査を実施します。

 

その後は、具体的にゴミ屋敷の住人に対する、ゴミ屋敷解消のための措置がとられる流れです。

ここでは、「立入調査」から行政代執行までの流れについて説明していきます。

ゴミ屋敷 行政代執行 ブログ02

立入調査

 

ゴミ屋敷と認められた住宅は、立入調査を受けなければなりません。

立入調査とは、区の職員がゴミ屋敷を訪ね、中の状態を調べたり、住人に質問したりすることです。

 

立入調査を命じられたゴミ屋敷の住人は、以下の行為を禁じられています。

 

  • 立入調査を断ること
  • 職員の質問に答えないこと
  • 職員の質問に嘘の答えを言うこと

 

これらの事項を破ったゴミ屋敷の住人は、氏名と住所を公表されたうえ、30,000円以下の過料を課せられます。

 

指導・勧告

 

立入調査の結果、片付けの必要があると認められたゴミ屋敷の住人は、区から口頭や文書によって、ゴミ屋敷の片付けをするよう「指導」を受けます。

指導を受けたのにもかかわらず、ゴミ屋敷の片付けをしない住人に対しては、一定の期限を定めたうえで、今度は書面による「勧告」が出されます。

 

命令

 

勧告を受けたのにもかかわらず、定められた期限内にゴミ屋敷の片付けをしなかった住人には、再度期限を定めたうえで、書面による「命令」が出されます。

 

期限内に片付けをしなかったゴミ屋敷の住人は、氏名や住所を公表されたうえで、50,000円以下の過料が課せられます。

さらに強制措置として、行政代執行が執られます。

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行政代執行が行われたゴミ屋敷の実例

 

各自治体でゴミ屋敷解消のための条例が制定されて以降、各所で実際にゴミ屋敷の行政代執行が行われています。

ここでは、その一例について紹介しましょう。

 

2018年に神奈川県横須賀市のゴミ屋敷で行われた行政代執行

 

2018828日、神奈川県横須賀市にあるゴミ屋敷で、行政代執行が行われました。

 

行政代執行を受けたのは、横須賀市の一軒家に一人暮らしをしている50代の男性です。

この男性が住むゴミ屋敷は、庭やベランダなど、屋外にまでゴミが蓄積されている状態でした。

 

このゴミ屋敷には、行政代執行が行われる3年前より、近隣住民から悪臭やねずみの大量発生などの苦情が寄せられていました。

これを受けて、横須賀市の職員はゴミ屋敷の住人におよそ百回近く指導を行いましたが、全く改善されませんでした。

 

しかし2018年の4月に、横須賀市でもゴミ屋敷解消のための条例が施行されました。

 

横須賀市では条例にのっとり、2018810日に、ゴミ屋敷の住人に対して、2週間以内に屋外のゴミを撤去しないと行政代執行を執ることを通告しました。

しかし、住人が撤去をしなかったため、行政代執行が執られたのです。

 

このとき回収された、ゴミ屋敷の屋外に溜まったゴミは、計1,710kgにもおよんだそうです。

ゴミ屋敷 行政代執行 ブログ04

ゴミ屋敷解消の条例がある主な自治体

 

ゴミ屋敷解消の条例は、残念ながら、全ての自治体で制定されているわけではありません。

東京23区と東京都外の主要な都市で、ゴミ屋敷解消の条例が制定されているのは、それぞれ以下のとおりです。

 

【東京23区】

新宿区

練馬区

世田谷区

杉並区

品川区

荒川区

足立区

板橋区

中野区

豊島区

大田区

 

【東京都以外の主な都市】

秋田市

大阪市

宇都宮市

京都市

横浜市

神戸市

名古屋市

北九州市

 

少なくとも、これらの区や市にあるゴミ屋敷は、行政代執行を受ける可能性があります。

 

まとめ

 

近年では、複数の市や区で、ゴミ屋敷解消のための条例が制定されています。

この条例では、相談や苦情のあったゴミ屋敷を行政が調査し、住人に対して指導や勧告、命令などを出します。

 

命令に従わなかった場合、その住宅は行政代執行のもと、強制的に片付けをされる仕組みです。

この条例が制定されている自治体に住んでいれば、近隣にあるゴミ屋敷を解消させることも可能です。

 

自分の住んでいる自治体が条例を制定しているかどうか知りたければ、「〇〇市 ゴミ屋敷 条例」などのワードで検索してみましょう。

自治体がゴミ屋敷の条例を制定していれば、検索結果にその条例の内容が出てくるはずでしょう。

 

自分の住んでいる地区の自治体にまだ条例がなかった場合も、条例を作ってもらえるよう、要望を出すといいでしょう。

条例を制定する自治体は少しずつ増えているので、いつか条例ができることも期待できるかもしれません。

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