ゴミ屋敷問題と高齢者の関係性とは
部屋の中がゴミだらけになっている、いわゆる「ゴミ屋敷」が、近年増加傾向にあります。
特に、高齢者の自宅がゴミ屋敷と化してしまうケースが多く、少子高齢化の進む日本は、今後もゴミ屋敷が増えていくと考えられます。
ゴミ屋敷は、ゴミが溜っているため、悪臭などの被害があります。
それ以外にも、ゴミに集まる害虫や、ネズミなどの害獣の被害も多く、近隣住民が被害にあうため、ゴミ屋敷になる前に対処をすることが大切です。
しかし、なぜ高齢者の家がゴミ屋敷になりやすいのでしょうか。
今回は高齢者とゴミ屋敷の関係性について、解説していきます。
Contents
高齢者の自宅がゴミ屋敷になりやすいのには理由が存在します。
ここでは、なぜ高齢者の部屋にゴミが溜まってしまうのかについてまとめました。
燃えるゴミをゴミ収集所に持っていく、家の不要なものをゴミ袋に入れる、という一見簡単な動作ですが、高齢者にとっては難しいことになってしまいます。
身体能力が低下してしまうため、身体を動かすのがやっとという高齢者にとって、「家中のゴミを集めてゴミ収集所に持っていく」ことが難しくなっているのです。
週に2回捨てていた燃えるゴミを、身体能力の低下とともに週1回に減らし、さらに月1回に減らし…としているうちに、家中にゴミが溜ってしまうというケースが多いのです。
また、燃えるゴミ以外についても同様のケースがあります。
例えば、電子レンジなどの家電が故障してしまったとして、購入することは簡単です。
電化製品の宅配サービスなどがあるため、新しいものを用意したものの、古い電子レンジを処分することが出来ないことも。
捨て方がわからない、資源ゴミとして回収してもらうとしても、それを持ってゴミ収集所に持っていくことが難しい場合、結局壊れた電子レンジも自宅に放置されてしまいます。
新聞や雑誌なども同様で、紐で括って資源ゴミ回収に持ち込むことが難しくなってしまいがちです。
すると、玄関先に読み終わった新聞の山が出来ていき、家にゴミが溜められていく状態が続いてしまいます。
身体能力の低下とともに、出来ることが少なくなっていくものですが、高齢者にとって、ゴミを捨てるということも「出来なくなっていく」のです。
そのため、高齢者の自宅は、ゴミ屋敷になりやすいのです。
ゴミ屋敷に住んでいる人は元々片付けが苦手、というケースもあるのですが、高齢者の場合すべて当てはまるわけではありません。
身体能力の低下とともにゴミを捨てられなくなると、家の中が汚れていきます。
すると、次第に「ゴミがある生活が当たり前」になってしまうことがあります。
いつもよりは汚れていない、少し汚れているけれどまだ大丈夫、というように少しずつ感覚が乱れていきます。
何とかしなければいけない、と思った時には家にゴミが大量に溢れていて、どこから手を付けていいかわからないということも少なくありません。
家にゴミが溜っている状態は、精神状態に強く影響します。
今までは害虫を見たら嫌な気持ちになっていたのに、少しくらいなら気にならなくなってしまったり、害虫を出ないようにするのではなく、出たら処理するようになってしまったり、少しずつ荒んだ精神状態になっていくことがあります。
ゴミ捨てなどがうまくいかない場合は、近所の人に助けを求めたり、自分の子どもに頼んだりするのが一般的ですが、ゴミで汚れているところを見られるのが恥ずかしいと思ってしまう方も多くいます。
そうなると、家の中を見られないように雨戸を閉めっきりにしていたり、そもそもあまり外に出なくなったりして、隠すようになってしまうことも。
家に引きこもって、必要なものだけを買って、最低限の生活をする。
ゴミが捨てられなくて困っているのに、周りに助けを求めるのは恥ずかしいことだと思ってしまい隠してしまう。
こうして負の連鎖が続いてしまって場合、ゴミ屋敷が増えてしまうことにつながるでしょう。
ゴミ屋敷に住んでいる人の多くは、孤独を抱えている場合があります。
家族や友人と連絡を取っていない状態や、近所の人とも話さないような人は、寂しいという気持ちになりがちでしょう。
すると、ゴミを捨てた後の物が減った部屋を「寂しい」と思ってしまい、部屋にゴミを溜めてゴミ屋敷にすることで、孤独を癒やしている状態に陥ってしまう人が多くいます。
孤独を感じてしまうと、ゴミを捨てることを嫌がるようになってしまうので、ゴミ屋敷化は加速していきます。
日本は少子高齢化が進んでいて、2025年には4人に1人が高齢者という時代になるといわれています。
その反面、高齢者の一人暮らしが増えていくといわれているので、ゴミ屋敷は増えていくと考えられます。
テレビのニュースなどで放送されるような、家の敷地の外にまでゴミ袋が散乱するようなゴミ屋敷や、家の中にゴミが溜っている「ゴミ屋敷になりかけ」の家も増えていくでしょう。
高齢者の身体能力が下がっていくことは仕方がないことなので、近隣住民でサポートしていける地域づくりが重要になるでしょう。
・地域全体でコミュニケーションを取ってゴミ屋敷を作るかもしれない高齢者を未然に防ぐ
・家族が積極的に連絡を取って、ゴミ屋敷になっていないか確認する
・行政のサポートや、有料のゴミ捨てサポートなどを定期的に利用する
この3つが大切になるでしょう。
ゴミを隠すようになってしまうと、ゴミ屋敷化が加速してしまうので、そうなる前に「ゴミ捨てられてますか?」と気軽に話せたり、相談したり出来る地域づくりを行っていくとよいでしょう。
また、自分の実家がゴミ屋敷になるのを防ぐために、こまめに連絡を取り合ったり、年に1度は実家に戻って家の様子や両親の様子を確認したりすることも大切です。
ゴミ屋敷に住んでいる人が亡くなった場合、その家族にゴミ屋敷が遺産として残されてしまうので、実家がゴミ屋敷にならないように自分で動くことも大切です。
また、近隣にゴミ屋敷が出来てしまった場合は、その家族に連絡を取るとスムーズに話が進むことがあります。
高齢化が進んでいる日本では、今後ゴミ屋敷が大きな問題になる可能性があります。
ゴミが捨てられない場合は地域のサポートや行政サポートなどを使って、定期的にゴミを捨てることがゴミ屋敷を作らない方法と言えるでしょう。