多頭飼育崩壊すると家がゴミ屋敷になる!?両者の因果関係を解説
近年、社会問題になっている「多頭飼育崩壊」とゴミ屋敷。
別々の問題に思えますが、両者には因果関係があります。
多頭飼育崩壊が起こった家は、それが原因でゴミ屋敷化するケースが多くなっているのです。
今回は、多頭飼育崩壊とゴミ屋敷の関係性や実例、解決方法や対策について、説明していきます。
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多頭飼育崩壊とは、ペットが大量に繁殖してしまい、飼い主が世話をしきれなくなってしまった状態を指します。
動物は、一度に何匹もの子どもを産みます。
そのため、飼い主がペットの去勢や避妊を怠ると、繁殖して、予想外に数が増えすぎてしまうことがあるのです。
多頭飼育崩壊には、ペットの糞害や、それに伴う悪臭の問題などがあり、近隣住民からの苦情も多くなっています。
環境省が、47の都道府県や政令市など、計125の自治体にとったアンケートによると、平成30年度の多頭飼育に対する苦情の件数は、以下のようになっています。
参照元:環境省「令和元年度社会福祉施策と連携した多頭飼育対策推進事業 アンケート調査結果の概要」
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/renkei/r01_03/mat02_2.pdf
このように、多頭飼育で苦情のあった世帯数は、2,000件以上にもおよびます。
このことからも、多頭飼育崩壊が大きな問題になっていることが分かります。
多頭飼育崩壊が起きている家は、同時にゴミ屋敷である確率も高くなっています。
この主な原因は、多頭飼育崩壊を起こした飼い主が、ペットの世話を放棄してしまうことです。
最初は、世話をしきれる頭数を飼っていた人も、予想外にペットの頭数が増えすぎてしまえば、世話をしきれなくなります。
結果、飼い主はペットの世話を放棄してしまい、家の中はペットの糞尿だらけになってしまうのです。
こうした家に住むことは、臭いや衛生面などで問題があるので、なかにはペットを家に残して、引っ越してしまう人もいるほどです。
多頭飼育崩壊では、こうしたペットの飼育不能から、ゴミ屋敷化への道を歩むケースが多くなっています。
また、飼い主が高齢者の場合、認知症やその他の病気によって、ペットの世話ができなくなったケースも見られます。
この場合も、ペットが繁殖してしまったり、宅内での糞尿を処理できなくなったりして、ゴミ屋敷化しやすくなるのです。
多頭飼育崩壊によるゴミ屋敷は、様々な問題や事件を引き起こします。
ここでは、実際に起きた、多頭飼育崩壊のゴミ屋敷の事件やニュースについて、紹介していきます。
2020年11月、京都府で、動物愛護のボランティアをしている女性が、動物愛護法違反で逮捕されました。
この女性は、飼い主がおらず、殺処分を免れた犬や猫を動物愛護団体から引き取って、飼い主を探す活動をしていました。
しかし、女性宅では多頭飼育崩壊が起きており、劣悪な環境で動物を飼育していたことが発覚したのです。
女性宅の玄関には、1.5メートルもの高さのゴミや、犬猫の糞が積み上がっていたようです。
さらに、家の中からは、52匹分もの犬や猫の死骸が見つかったことが報じられています。
2019年7月、兵庫県で、ボランティア団体が、一人暮らしの高齢男性宅から22匹の猫を保護しました。
この男性は、自宅で約30匹の猫を飼っていましたが、同年の6月に倒れて入院してしまいます。
入院から約2週間、猫にはエサが与えられず、逃げた猫を除いた22匹が保護されました。
猫を保護しに男性宅に入った、ボランティア団体の代表によれば、男性宅は足の踏み場もないほどゴミが積み上がった、ゴミ屋敷だったそうです。
飼い主の男性は近所付き合いもなかったようで、こうした社会的な孤立感からペットをたくさん飼ってしまうことも、多頭飼育崩壊の原因の1つと見られています。
多頭飼育崩壊が起きてしまえば、ペットの糞尿などで、その家がゴミ屋敷になってしまうのは時間の問題です。
もし、多頭飼育崩壊が起きる直前、またはすでに起きてしまっている状態なら、早々に解決しないと大変なことになってしまいます。
では、このような状況の場合、どのように解決すればいいのでしょうか?
ここでは、多頭飼育崩壊と、それに伴うゴミ屋敷の解決方法について、説明していきます。
ペットを飼えなくなったら、里親になってくれる人を探しましょう。
一番良いのは、友人や知人などをあたって、里親になってくれる人を自分で見つけることです。
難しい場合は、ペットを引き取ってくれる愛護団体やボランティア団体をネットで探して、問い合わせしてみましょう。
ペットを手放したら、次はゴミ屋敷を解消しましょう。
とはいえ、多頭飼育崩壊によるゴミ屋敷は、自力で片付けるのはもちろん、ふつうのゴミ屋敷清掃業者でも、解消は困難です。
なぜなら、ペットの糞尿の臭いは、建物の建材などに染み付いていて、掃除をしただけでとれるものではないからです。
この場合、特殊清掃業者に依頼することになります。
特殊清掃業者は、主に孤独死や自殺などがあった部屋を清掃する業者で、消臭も得意としています。
多頭飼育崩壊によるゴミ屋敷なら、特殊清掃業者に依頼しましょう。
最後に、多頭飼育崩壊を未然に防ぐための対策について、説明しましょう。
対策方法は、以下の2点です。
ペットはなるべく1匹だけ、複数飼う場合は、同じ性別のペットを飼うようにしましょう。
オスとメスの両方を飼っていれば、両者で交尾をして、子どもができてしまう危険があります。
また、猫の場合は、外で交尾をしてしまう可能性があるので、オスは去勢、猫は避妊の手術をするようにしましょう。
この場合は、家の中で違う性別の猫を飼っても、問題ありません。
多頭飼育崩壊は、一度起きてしまうと、解決が難しくなってしまいます。
たくさんいるペットの里親を探すのは大変ですし、ゴミ屋敷の特殊清掃にも高額な費用がかかってしまいます。
現在ペットを飼っている方や、これから飼おうと思っている方も、人ごとだと思わず、多頭飼育崩壊を起こしてしまわないよう、心がけましょう。